てひきの松のいいつたえ
むかしむかしのことです。 かきの実が赤くみのるころ、余土の村
に2わのつるがとんできて、三嶋神社の松の木にすを作りはじめま
した。2わのつるは、とてもなかのよいきょうだいのつるでした。
ある日、いもうとのつるがけがをしてとべなくなってしまいました。
あねのつるは、いもうとをだきかかえるようにして帰ってきましたが
とうとう、力つきて近くのはたけにおちてしまいました。村の人たちは
びっくりして、かけつけ、すぐに水をあげたり、けがの手あてをしたり
してせわをしました。十日もすると、2わのつるはすっかり元気になっ
て、とべるようになりました。
やがて雪がとけ、春がくるころ、2わのつるは、村の人たちにおわ
かれを言うかのように三嶋神社の上をくるくるととんだあと、北の国
へ帰っていきました。
その後、村の人たちが神社に行ってみると、2わのつるがすを作っ
ていた松の木のえだが、となりの松の木と手をつなぐようにつながっ
ていました。村の人たちにはそれが、とてもなかのよかった2わのつ
るのすがたに見えました。そこで、けっしてはなれにいように、手を
つないでいるといういみで、2本の松のことを「手ひきの松」とよぶよ
うになりました。 (「余土百年のあゆみ」より)