B.C.27年の大地震によってこの巨像に
深い亀裂ができてしまった。それ以来、毎日朝日
を浴びると像は長くうめくような音をたて、そばを通る
旅人たちは像が悲しく歌っていると信じるようになった。
ギリシャの詩人たちはこれを次のような美しい伝説と結びつけた。
この歌う石は、ギリシャ神話にでてくる曙(あけぼの)の女神の息子で、
エジプト王のメムノンである。メムノンはトロイア戦争に当たって父から
トロイの援軍に送られて幾多の手柄をたてたが、結局英雄のアキレ
オウスに討ち取られてしまった。母エーオースは、少なくとも1日
に1度は息子が生き返ることを涙とともにゼウスに願ったため
に、毎朝母が朝日で子をなでるとメムノンはよみがえって
うめき声で母に挨拶するという。
「メムノンの歌」はB.C.27年の大地震によって巨像に深い亀裂ができて以来、ローマのセヴェ
ルス帝が修復工事をするまでの間聞かれた、と書き残されている。
学者たちは、夜の間に冷えていた岩が朝日によって暖められたその温度差が原因で岩の表
面が振動したために起こった音であろうと考えているそうだ。
資料 三浦令子