ー エジプト古代文明の旅より ー
No.6
テーベ(現在のルクソール)の背後に広がる山地には谷が数多くあり、「王家の谷」と
して有名である。この谷の歴史は、トトメス1世が伝統を破って、葬祭殿と墓を分けるこ
とを(ピラミッドを建造していた時代には、墓と葬祭殿は対になっていた)決心したこと
に始まった。
トトメス1世を始めとする王族にとってここは安住の地ではなく、この谷の歴史は略奪
と盗掘の歴史であった。ほとんどすべての墓は建造直後から盗賊に荒されて、その中に収
められていたはずの想像もつかないような膨大な財宝は残されていない。
ここを訪れると、第18・19・20王朝(新王国時代、前1567〜1085年ころ)の歴代のファラ
オの立派な墓そのものと、入口から玄室に向かって古代の信仰の奥義が学べるすばらしい
壁画や天井画を見ることができる。
18歳で亡くなったと推定されるツタンカーメン王の墓は、1922年にイギリスの考古学者
ハワード・カーターに発見された。奇跡的にも玄室が盗人の目を免れて膨大な宝物が発掘
され、有名になった。財宝は現在カイロのエジプト考古学博物館に陳列されている。谷で
最も地味な墓からまばゆい財宝が発掘されたことを考えると、アメンホテプ3世、セティ
1世、ラムセス2世、ラムセス3世といった大ファラオの墓が盗掘に遭う前にはどれほど
莫大な財宝が収められていたことか、想像もつかない....。
ラムセス2世、セティ1世等のファラオたちのミイラはカイロのエジプト考古学博物館
の2階におさめられており、見ることができる。
トトメス3世の墓付近
2000.7.30
(エジプトにて撮影)
写真・資料 三浦令子