伊予の松山 名物・名所シリーズE
こ か き つ ば た
撮影 2002/4/7
こかきつばた(和名 エヒメアヤメ、別名 タレユエソウ) 北条市下難波腰折山
伊予節にうたわれている腰折山のかれんな花「こかきつばた」は、エヒメアヤメ、別名
タレユエソウをいう。エヒメアヤメは、花の茎が5〜15cm、花の直径は3〜4cmとアヤメ科
アヤメ属の中では日本で最も小さい。エヒメアヤメは、故牧野富太郎博士が愛媛県の
腰折山で発見し名づけた。その当時、自生南限地とされ国指定の天然記念物に指定
されている。
「こかきつばた」は、伊予節や地元の人たちが呼んでいる方言名である。コカキツバタ
は、学術的には別種で、中国北部朝鮮の原産である一名マンシュウアヤメをいい、かっ
て、我が国でも、山草家の間でかなり栽培していたが、現在は少ないようである。
伝 説
「たれゆえそう」とお姫様
腰 折 山
むかし、むかし、美しいお姫様と乳母とお供の侍が乗った小舟が、浅海(あさなみ部落)の海岸に流
れ着いてのう。この人たちは追われの身で、里人たちに、かくまってくれるように頼んだんじゃそうな。
そしたら、里人は、かかわりになることを恐れて、かくまおうとせんなんだんじゃわい。
この時、里人の一人が、「腰折山に岩屋があるけん、そこなら人目につかんし、追っ手に見つかるこ
ともないじゃろう」というて、そこをおしえたんじゃそうな。それから、お姫様ら三人は、腰折山の岩屋に
住んどりよつた。
月日も流れ、ある日のこと、お供の侍が、用事があって留守をし
ているところへ、追手の侍がやって来て、ついに、美しいお姫様も
乳母も、斬られてしもうたんじゃそうな。
何年かたって、ある春のこと、岩屋の前を里人が通りよると、見た
こともない美しい花が咲いとんのよ。そいで、あの美しいお姫様の
生まれ変わりじゃないじゃろうかと、噂するようになったんじゃ。
それから、誰いうともなしに、この花を、「たれゆえそう」と、呼ぶよ
うになったんよ。