秋 の 七 草
秋 の 七 草
秋の野に咲きたる花を指折り かき数ふれば七種の花
ななくさ
および
芽子の花尾花葛花なでしこの花 女郎花また藤袴朝貌の花
は ぎ
おばな
あさがお
くずばな
ふじばかま
おみなえし
上の歌二首は、山上憶良(660〜733?)が詠んだ歌である。この歌が、秋の七草の元になっている。
春の七草は食べる植物を選んでいるのに対して、秋の七草は花が美しい植物を選んでいる。
ハギ
(マメ科)
上記の歌の最初は「芽子(はぎ)の花」になっている。当時、ハギは家の外
へ出るといたるところに生えていたと考えられる。万葉集にも最も多く詠まれ
ており、お花見もハギであったという。ハギの仲間は多数あるがヤマハギ、
マルバハギ、ニシキハギが一般的である。
ススキ
尾花(おばな)は、ススキのことである。ススキの穂が馬などの尾に似ている
から尾花といったという。また、ススキのことをカヤ(茅)ともいい、ススキを
刈って茅葺きの屋根をつくった。
(イネ科)
クズ
(マメ科)
葛花(くずばな)は、クズのことである。長い蔓(つる)になって生長する。クズ
の根は、太く大きく多量のデンプンをたくわえている。その根を掘り取ってデ
ンプンをとったものが「くず粉」であり、くず湯・くず餅・くず饅頭などを作って
食べた。
ナデシコ
(ナデシコ科)
なでしこの花は、カワラナデシコのことである。別名ナデシコ、ヤマトナデシ
コともいう。ナデシコの名は、かわいい花の様子「撫(な)でし子」からきた名
前であろうという。
オミナエシ
女郎花(おみなえし)は、オミナエシである。花の一つ一つは小さいが、たく
さん集まって、鮮やかな黄色で咲いているところは女性を思わせる。女郎花
(おみなえし)に対して、男郎花(おとこえし)があり、比較すると女性らしい名
前の由来が分かるようでおもしろい。
(オミナエシ科)
フジバカマ
(キク科)
藤袴(ふじばかま)は、フジバカマである。愛媛には自生していないという。
そのため、フジバカマのかわりによく似ているヒヨドリバナを代用する人が多
い。もともと中国原産で、奈良時代に渡来したものが野生化したといわれる。
花一つ一つは目立たないが、たくさん集まって咲いていると美しい。
キキョウ
(キキョウ科)
歌に詠まれている朝貌(あさがお)の花は、キキョウのことである。現在のキ
キョウの漢名は「桔梗」を使っている。山上憶良の歌にあるアサガオ(朝貌)
は何を指すか、もっとも多く論じられたそうである。もちろん1000年余前には
現在のつるで伸びるアサガオは渡来していなかった。